ソニーが、アクションカムの様なデジタルスチルカメラである、『Cyber-shot DSC-RX0』を発表しました。2017年10月27日に発売予定とのことで、気になっている方もいるのではないでしょうか。
今回は、そんな”見た目、アクションカム”なデジカメ、『RX0』について調べてみたいと思います。
RX0|そのスペックについて
まずは、RX0の主なスペックについて簡単に整理しておきましょう。
センサーサイズ | 1.0型 (Exmor RS CMOSセンサー) |
有効画素数 | 約1,530万画素 |
レンズタイプ | ZEISS テッサーTレンズ(レンズ構成:6群6枚(非球面レンズ6枚) |
F値 | F4.0 |
モニタータイプ | 1.5型/230,400ドット/TFT LCD |
シャッタースピード | 1/4 - 1/32000秒 |
ISO感度 | 125-12,800 |
オートフォーカス | ◯ |
手ぶれ補正 | - |
記録フォーマット | 静止画:JPEG、RAW他、動画:XAVCS、AVCHD、MP4 |
記録メディア | メモリースティック、microSDカード他 |
4K動画本体記録 | - |
実動画撮影可能時間 | 約35分 |
USB充電・給電 | ◯ |
スペックはこんな感じです。
いわゆるコンパクトデジタルカメラとしての性能と捉えれば、決して高性能とは言えず、基本性能としての尖った部分などは特に見当たりません。
同じソニーのRX100m5の方が、総合力として優秀であるというのは純然たる事実と言ってしまって良いでしょう。
では、このRX0をどう捉えれば良いのでしょうか。
RX0の捉え方
アクションカム?
見た目は明らかに”アクションカム”のそれ、な『RX0』ですが、これはもうシンプルに”アクションカム”と捉えて良いのでしょうか。
ソニーの見解は異なります。あくまでこれは「小型・頑丈なつくりの”コンパクトスチルカメラ”」という位置づけです。
ユーザー側の視点に立った場合においても、アクションカムとして捉えることが出来ない大きな欠点があります。
それは、なんといっても、「手ブレ補正がついていない」ということです。
”アクションカム”とは、その名の通り、アクションに伴うダイナミックな映像を捉えるために使用するカメラということですので、この「手ぶれ補正がない」という点は圧倒的な欠点であると言わざるを得ません。
また、4Kの内部記録にも対応しておらず、動画撮影は1080pのフルHDまでとなっています。一方で、フレームレートは、240/480/960fpsが選択可能と、スーパースローで被写体を捉えることが可能です。
一般ユーザー目線で言うならば、スーパースローをしょっちゅう使うということは考えにくいですので、やはりアクションカムとして捉えるのであれば、手ブレ補正がないというのは痛いところです。
この時点で、かなり特殊なニーズに寄っている気がプンプンしてきましたね、RX0。
コンデジ?
アクションカメラでないのであれば、コンパクトデジタルカメラ、いわゆる”コンデジ”と捉えて良いのでしょうか。
私個人的には、むしろこっちの方がしっくりきます。
これまでRX100シリーズの購入を何度も検討してきた身にとっては(結局購入には至っていませんが)、ある程度機能が制限される部分はあるにせよ、この筐体サイズは魅力的です。
コンデジ最小クラスで、その撮影能力という意味においても最高峰に位置するRX100m5ですが、やはり小さなポーチやポケットにサクッと投げ入れて持ち運ぶというサイズにまでは至っていないというのが実情です。
一方でこのRX0であれば、衝撃や粉塵・水にも強く、少々手荒に扱ったとしても大丈夫な超小型コンデジとして使用することが可能になります。また、単体での4K録画にこそ対応していないものの、本当に必要とあらば、外部レコーダーを接続してのS-log撮影等も可能です。
今やスマホでも単体での4k動画撮影が当たり前になってきている時代、そこまでする必要に迫られるのかという疑問も湧いてきますが、コレ一台でアクションカムとしての役割以外のコンデジ的要素を網羅したいという方には向いているのかもしれません。
まとめ
さて、まとめとしてこのカメラが最適なユーザーは、と言うと、
「機能面はある程度犠牲にして構わないので(4K録画や手ブレ補正)、(時には雨などの状況も含め)どんな環境でもバシバシ使える、どこにでも持ち歩くのがストレスにならない超小型サイズのコンパクトデジタルカメラが欲しい」
という人になりますでしょうか。
はい、無理やりです。なかなかいませんよね、そんな人。
実際には、
「このカメラを何台も連携させて撮影し、スローモーションや連写といった様々な写真・映像表現を追求するプロフェッショナル向け」
というのが正解ではないかなと思います。
つまり、RX100シリーズの様な良いとこ取りや、もちろん、α9といったフラッグシップの様な本格的な使い方もできないこのRX0というカメラは、「VR表現」や「多アングル撮影」といった、かなりニッチなニーズに絞られた商品設計である以上、そもそもそういった位置づけになるのが真っ当なのかもしれません。
ただ一方で、このボディサイズは、時に物凄いアドバンテージになることも事実です。本格的なカメラを設置できないアングルからの撮影や、手ぶれ補正はないものの、動的に捉えたい場面をクリーンに残すという意味においては、これまでのアクションカムの上を行くと言えるでしょう。
当のソニー側も、この製品の位置づけが非常に突飛なものであるとの認識は持っている様で、今後市場からの声に耳を傾けつつ、方向性を探っていくとのことのようです。
見た目もさることながら、ある意味で非常に特殊なカメラであるRX0、デザインや機能面といった実用性は一旦横に置き、他にない商品を堂々と出してくるあたり、往年の、世界をリードする日本の『SONY』を感じられた気がして、妙にワクワクしたのは、私だけでしょうか。