キャンプに欠かせないアイテムの一つ、ランタン。
基本的に夜は真っ暗になってしまうキャンプ場では、ランタンやヘッドライトといった明かりを照らすアイテムが必須になります。キャンプ場によっては、トイレに行く際など、自分のサイトから少しでも離れようものなら、もう”一寸先は闇”状態になってしまうような所もありますので、非常に危険です。
せっかく楽しいはずのキャンプも、真っ暗な状態では、料理や各種作業をするのに非常に不便を強いられることになり、ストレスが溜まってしまいます。電源サイトや電灯のあるキャンプ場でさえ、テーブルまわりや手元の明かりは自分で確保しておく必要があります。
そんな「ランタン」について、今回は、その選び方を詳しく解説していくとともに、おすすめの商品についてもご紹介したいと思います。
あなたのランタン選びの参考になれば幸いです。
ランタンを選ぶ際の基準と考え方
数あるランタンの中から、どのように自分のランタンを決めれば良いのか。
- 動力源:燃料 or 電池
- 携帯性:サイズ・重さ
- 光の種類:明るさ・色温度
この3点をおさえて選んでおけば、まず失敗することはないと思います。
1つずつ見ていきましょう。
動力源|燃料系か電池系か
まずは動力源についてですが、大きく2つに分かれると思ってください。
- 燃料系:アルコールやケロシン(灯油)といった液体燃料やガスを使用するもの
- 電池系:乾電池・バッテリーを使用するもの
この2つを比較する場合の判断基準は、「管理のしやすさ」と「光の雰囲気」です。
まずは「管理面」についてですが、言うまでもなく、管理が楽なのは、電池式(充電式含む)です。
液体燃料やガスを使用する「燃料系ランタン」は、ランタン本体とは別に燃料を用意しておかなければならず、さらには使用時以外の使っていない時のお手入れも必要になります。
代表的なケロシンランタンで考えてみると、燃料漏れなどがないようにパッキン類のチェックから、実際に火を灯すためのマントルやニップル・ニードルといった消耗品も適宜交換してあげなければなりません。
もう1つ「燃料系ランタン」を検討する際に気をつけておかなければならないのは、”故障リスク”です。
燃料系ランタンは、最悪の場合、現地で点かないという事態も十分に起こり得ます。
そんな時は、ランタンに向かって「機嫌直してくれよー」と言いながら、また現地で応急処置をすることになるのですが、それでも一向に機嫌が直らない時は、もう諦めるしかありません。
このように、手入れの手間や故障のリスク等を考えると、個人的にはやはり、”明かりを確保するため”のランタンという意味においては、電池式がおすすめということになります。
なんだかここまで悪く言われっぱなしの燃料系ランタンですが、もちろん良いところもあります。
その1つが、駆動方式を検討する上でのもう1つの判断基準である「明かりの雰囲気」です。
結論から言えば、燃料系ランタン、特にケロシンランタンが醸し出す雰囲気は、電池系ランタンには絶対に出せません。
したがって、「キャンプでは、何よりも雰囲気が大切!」という方は、燃料系ランタンを選んだ方が良いでしょう。
キャンプ場に到着し、テントなどのセッティングを済ませ、料理やお酒などを準備して、一息つく時、また、食事も終わり、夜にゆったりとした時間を楽しむ時には、この燃料系ランタンが最高の雰囲気をつくり上げ、場を盛り上げてくれます。
つまり、燃料系ランタンを使う目的は、多くの場合、”明かりの確保”ではなく、”雰囲気づくり”がメインだと思っています。
また、燃料系ランタンは、手間がかかる分だけ、愛着が湧くということも言えるかと思います。
普段から、やれ部品の交換だ、やれ汚れたから磨きをかけるだのと面倒な手入れをしなければならない分、情が湧いてきやすくなりますよね。
キャンプやアウトドアの楽しみ方は人それぞれですが、こういった道具選びもその一つといえるのではないでしょうか。
私の感覚では、キャンプ上級者は光源をいくつか準備している場合がほとんどですね。実用性を考えて電池系のランタンやヘッドライトを用意しておく一方で、雰囲気作りのためにわざわざケロシンランタンを持っていくといった方も多いかと思います。
携帯性
続いてのポイントは、「携帯性」です。
これはほぼ「動力源」と比例するとも言えるのですが、やはり「電池式」の方が圧倒的に携帯性に勝ります。小さなものであれば、手のひらに収まってしまうほどのサイズ感ながら、何か作業をしたりといった時に必要な十分な明るさを確保することが可能です。
ただし、キャンプ道具を色々と物色し始め、いわゆる「道具沼」にハマってしまうと、誰もが一度は迷い込む「ミニマム化」の森。これが厄介です。
キャンプ道具を少しずつ集めだすと、どれだけ効率的にスタック(収納)し、少量の荷物で楽しめるかということを考え始める時期があります。これは、可能な限り荷物を軽量化する必要がある登山家などの考え方の他に、アウトドア、ひいてはサバイバルという意味で言うと、人工的な道具をどれだけ減らして自然と対話できるかということを楽しむスタイルでもあります。
こういった、自然との調和を目指すスタイルのことを「ブッシュクラフト」と呼んだりもしますが、海外の強者の中には、本当にバックパック1個分の道具と少量の食料のみで野山に入っていき、数ヶ月過ごすというような人達もいます。
繰り返しになりますが、キャンプの楽しみ方というのは本当に人それぞれですので、このようなブッシュクラフト的な方向に進む人もいれば、快適装備をたくさん持ち出して、外でゆっくりと過ごすということが楽しいという人もいます。最近では「グランピング」なるものも一部で流行っていますね。
アウトドアの楽しみ方に正解などありません。自分が楽しいと思えるスタイルをどんどん追求していくのが良いと思います。
少し話が逸れてしまいましたが、ランタンを選ぶ上での「携帯性」はこの”アウトドアのスタイル”によっても大きく左右されるということが言いたかったわけです。
つまり、バックパック一つで山奥へ入っていくような”野営”スタイルや、ミニマム装備でどれだけ自然と対話できるかといった”ブッシュクラフト”スタイルでは、装備を軽く・コンパクトにしていくことが重要となりますので、明かりの確保のために物凄い重たいランタンを持っていくという選択肢はないわけです。軽装備にするのであれば、携帯性の良い小さな電池式ランタン、もしくは、ヘッドランプ1つということもあり得るでしょう。
反対に、充実した装備で快適な環境でアウトドアを楽しみたいという方であれば、雰囲気作りを特に重視して、ランタンのサイズや重さよりも、ランタンのつくりそのものや光がつくりだす雰囲気を重視するということもあり得ます。
いずれにしても、キャンプに慣れて来る頃には、段々と自分のアウトドアスタイルも確立されてきて、ランタンの選び方がどうのこうのと、とやかく言われなくても解るよ、となってしまいそうですが、考え方としてはこのように自分の”スタイル”に即したアイテムを選ぶと良いかと思います。
光の種類
最後の条件が「光の種類」です。
これが、ランタンを決めていく上で意外と大切で重要なポイントであると、私個人的には思っているのですが、ここで言う「光の種類」とは何かと言いますと、「色温度」のことです。
光の明るさももちろん大切な要素ではあるのですが、これは各商品に表示されている場合がほとんどですので、あまりに暗いものは別として、単純になるべく明るめのものを選択すれば間違いないと思います。
では、色温度とは何かと言うと、ひらたく言うならば、「赤系(暖色系)」か「青系(寒色系)」かという話です。昔の白熱球の様ないわゆる暖色系の光と、蛍光灯のような寒色系の光とでは、その場の雰囲気はガラッと変わります。
これはもう”好み”の領域になってきますが、一般的にはやはりキャンプに適した色、落ち着く雰囲気を醸し出してくれるという点では「暖色系」が好きという人が圧倒的だと思います。
ケロシンランタンの所でも少しお話しましたが、そういった燃料系のランタンが落ち着くのはこの色温度というのも大きな要素です。ゆらゆらと暖かなオレンジ色の光を放っている様子に落ち着きを感じるわけです。
余談ですが、この「ゆらゆら」の正体を知っていますか?これは、「1/fゆらぎ」と言われているものになります。「えふぶんのいちゆらぎ」と読み、「規則的な一定のリズムでの動きの中に、不規則な動きが混ざった状態の動きや音」のことを言います。この「1/fゆらぎ」が人に快適感やヒーリング効果を与えると言われ、焚き火の炎や小川のせせらぎ音、木漏れ日、蛍の光り方といった自然界で多く見られる現象なのです。
ランタンの光も、燃料系のものであれば「1/fゆらぎ」を持った光り方をしますし、電池系のものでも、この「ゆらぎモード」を選べる製品がありますので、ゆったりと落ち着いた時間を過ごしたい時の光源として最適です。
電池系おすすめランタン|スノーピーク「ほおづき」「たねほおづき」
ここまでランタンの選び方について様々な条件をもとに考えてきましたが、自分に向いていそうなランタンの条件は見つかりましたでしょうか。一旦それらの要素を整理しておきましょう。
メリット | デメリット | ||
動力源 | 燃料 | 手入れが必要になる分愛着がわく | 別途用意しなければならず荷物が増える。手入れが大変 |
電池 | 管理が楽 | 良い雰囲気を出すには力不足 | |
携帯性 | 電池式の方が小型のものが多い | 燃料系はある程度の明るさを求めると大型のものになってしまう | |
光の種類 | 暖色 | 落ち着く色 | 視認性が低い(文字などが読みづらい) |
寒色 | 視認性が高い(文字などを読みやすい) | 焚き火の炎などの色と調和しない人工的な色で落ち着かない |
いかがですか?
総合的には、キャンプ初心者で「どんなランタンを買って良いのか解らない」という方は、迷わず「電池系」を、キャンプにも慣れてきて少しずつ雰囲気も楽しみたいという方は「燃料系」を選択すれば良いかと思います。
というわけで、ここでは私がおすすめする電池系の最高峰とも呼ぶべきランタンをご紹介したいと思います。
それが、「ほおずき」です。
スノーピーク ほおずき|Snow Peak
まず上のリンクでこの『ほおずき』を見ていただいて、第一印象として何を感じましたか?
私の第一印象は「高っ!!」でした。なんと言っても、こんな小さなランプが10,000円超えですからね。
そうです。天下のスノーピーク製品ということもあり、非常に高いんです、この製品。でも、今となっては手に入れて後悔はしていません。それぐらい気に入っています。私としては、電池系の中では最高だと思っています。その理由をご説明しましょう。(スノーピークの回し者でも、熱狂的な信者でもありませんので、悪しからず。)
まずはなんといってもそのサイズです。小さいです。イメージとしては、男性が両手でちょうど包み込めるぐらいのサイズ感です。先程、キャンプ道具を選ぶ基準の一つに携帯性の良さというのを挙げましたが、私はこのほおづきを百均のポーチに入れていつもキャンプに持っていっています。
さらにこのほおずきが放つ光も私がこの製品を気に入っている理由の1つです。なにか作業をするための明かりとして十分な明るさがあるだけでなく、蛍光灯の様な寒色系ではなく非常に温かい暖色系の色をした光が妙に落ち着くんです。
さらにこのほおずきには、2まわりほど小さい”こども版ほおずき”とも言える、「たねほおずき」というものが存在します。
実はと言えば、私はそもそもこの「たねほおずき」を先に購入していました。でも、後になってほおずきを追加購入してしまったのです。その理由はといえば、ずばり”明るさ”です。
色温度的には「ほおずき」も「たねほおずき」も変わりはないのですが、明るさに関してはやはり実際に外で使用すると、「ほおずき」の方が「たねほおずき」よりも体感で2段階ぐらい明るい気がしています。はじめはその価格に躊躇していたのですが、最終的には快適な環境をつくるためにと思い切って購入してしまいました。いやー高かった。汗
結局は、テーブル上の手元あたりを低めの位置から照らす用として「たねほおずき」を、自分のサイト周辺の少し広い範囲を照らすのに「ほおずき」を使うといった具合に使い分けています。
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アウトドアシーンで大活躍の『折りたたみテーブル』。 私はキャンプなどに行く時には、いつもお気に入りの折りたたみテーブルを持参するのですが、毎回ちょっと困ったことがありました。 それは、「ちょうどいいラ ...
ここでもうひとつ問題が出てきます。それが、「ランタンの高さ問題」です。
今言いました様に、サイト周辺を広く照らす場合には、ある程度の高さが必要になりますが、そこで登場するのが「ランタンポール」です。ランタンポールに関しても、様々なものが売られていて、選ぶのが非常に難しいのですが、私が注目した条件は、やはりここでも「携帯性」です。
かなり様々な種類のランタンポールをネット上で物色してきましたが、多くのランタンポールは70-100cm程までにしか縮まらず、持ち運びする際に非常にかさばります。長さが出てしまうものというのは、車などではまだ良いものの、バイクでのキャンプツーリング等においては非常に邪魔になってしまい、”致命傷”です。
そのため私は、普段は短く収納できるように自作したランタンポールを使用しているのですが、あるもので応用するのであれば、タープポールや近くの木の枝の高めの場所に引っ掛けておくといった使い方もできるかもしれませんね。
そんな中、市販のもので私がおすすめするのがこのランタンポールです。
これは、最短で45cmの長さにまで短くして収納することができます。ただ、残念なことに、設置時の高さが、86cmか116cmとそこまで高くならないという難点はあります。収納性を重視せざるを得ない自転車やバイクでのキャンプツーリングなどで使用する際には是非検討してみても良いのではないでしょうか。
まとめ
さて、今回はランタンを選ぶ際の基準についてと、私の個人的なおすすめランタンについてご紹介してきました。
何も判らずに道具を集めている”初心者”の段階ではとりあえず「電池系」を、慣れてくれば「燃料系」「電池系」に関わらず、自分のキャンプスタイルに合ったお気に入りを手に入れる、というのが一番良いのではないかと思います。
ベテランのキャンパーさん達からは、「まだまだ甘い」とか「全然わかってねーなー」と言われる部分もあるかもしれませんが、少しでもキャンプ初心者の方のランタン選びのヒントになれば嬉しく思います。
その他キャンプでの”明かり類”については、機会があれば、ケロシンランタンやヘッドランプについても今後個別にご紹介していければと思っていますので、そちらもお楽しみに。
ではでは、良いアウトドアライフを。