今から数年前、私は10年弱勤めた会社を辞めました。
- 「仕事が嫌になった」
- 「ブラック企業だった」
- 「上司や同僚との社内での人間関係に問題があった」
どれも私が会社を辞めた理由にはあてはまりません。
唯一私を突き動かした「退職」への原動力、それは、
「危機感」
です。
そう言われても、すぐにはピンと来ないかもしれません。詳細については、本文中でお話させていただきますが、今これをお読みいただいているあなたにこそ、この”危機感”を感じてもらいたいのです。
なぜならあなたは、「今の会社を辞めること」や「転職」といったことが頭の片隅にあるからこそ、この記事を覗いてみてくださったのだろうと思うからです。
今回は、私が会社を辞めるに至った考え方についてご紹介していくとともに、自分なりの見通しやそれに対する心構えといった点に基いて、今後の社会の在り方などの俯瞰的な観点からも「なぜあなたが会社を辞めるべき」と考えるのかお話していきたいと思います。
今回はいつもの当サイトの趣旨とは少し異なった話題とはなりますが、たまにはこういったお話があっても良いのかなとも思っています。
また、個人的には今後かなり劇的に世の中が変化していくであろうと感じている部分もありますので、「会社を辞める」「転職する」ということについていろいろと思い悩んでいる方に、少しでもヒントとなる考え方、何かのきっかけをご提供できればと思います。
あくまで私個人の”私見”にはなりますが、ご参考までに、よろしければどうぞ最後までご覧になってみてください。
「退職・転職の理由」についてもう一度考え直してみる
後程詳しくお話していきますが、私個人的には、どんな会社であれ「いつかは辞めるべき」だと考えています。
しかし、あなたがもし「近いうちに会社を辞めることを考えている」のであれば、もう一度冷静に、自分がなぜ「会社を辞めよう」という考えに至ったのか、ということについて思い返してみてください。
その結果、もし少しでも「もっと楽な仕事がしたい」といった”甘え”や、「この仕事は自分には向いていないのかもしれない」といった”逃げ”の気持ちがあると判ったとしたら、もう一度考え直してみられることをおすすめします。なぜかと言えば、ここで断言しておきますが、
そんな考えのもと、次の仕事を探しても、まず間違いなく、うまくはいきません。
理由はともあれ、転職によってたまたま自分の”天職”が見つかる、といったケースは、まずもって起こり得ません。そんなことが起こる確率というのは、”奇跡”に近いと言っても良いでしょう。
多くの人は、自分がしたいこと、本当に人生をかけて取り組みたいと思える仕事、などというものが解らないまま、人生の最期を迎えます。それが現実です。
就職活動中という、ものすごく限られた時間の中で見つけた会社、または、学生で社会というものを知らぬままの感覚やイメージで選んだ会社に就職し、定年まで勤めて退職すると、僅かばかりの退職金と年金をもとに老後余生を過ごす。大多数の人はそんな人生を歩むことになるでしょう。
私の尊敬する経営者、アップル創業者のスティーブ・ジョブズは言いました。
「私はラッキーだった。若いうちに自分が一生かけて取り組もうと思える”好きなもの”が見つかったのだから。」
この”好きなもの”が、「アップルⅠ」というコンピュータに始まり、「iPhone」に至るまでの彼の功績として、今も世界を席巻しているわけですが、この言葉からも解るように、人が自分の本当にやりたいことを見つけられるということは、悲しいかな、本当に稀なことなのです。
では、どうすれば「自分の好きなこと」や「やりたいこと」を見つけ、それを仕事とすることができるのか。
その大前提となるのが、『”甘え”や”逃げ”を前提に、人生のターニングポイントとなる選択肢を決断しない』ということです。
次の仕事で本当に好きなことに巡り会わない限り、そういった”甘え”や”逃げ”に繋がる様な要因は必ずまた出てくることになります。そして、もともとそんな動機で転職したあなたが、そのような問題を乗り越えられるなどということはありません。
つまり、そういった感情に流されて安易に退職し、次の職場へ移ったとしても、似たり寄ったりの理由が原因で、自分の中にまた”甘え”や”逃げ”の感情が出て来る可能性が高いのです。
しかし一方で、「人間関係に悩んでいて本当に辛い」、「パワハラ・セクハラなど異常な職場環境である」といった場合には、”逃げ”だとは捉えずに、一刻も早く次の職場へ移ることを考えられた方が良いかも知れません。
あまりに理不尽な状況が続いているといったことが原因であるならば、これは当然ながら”逃げ”には該当しません。
この線引きは難しい部分ではありますが、精神的な負担が大きいまま放置していると、本当にカラダを壊してしまったり、近年問題にもなっている”自殺”といった、本当に最悪のケースも想定しなければならなくなってしまうこともあり得ます。
ですので、「どう考えても自分の職場はおかしい」「精神的にかなり追い詰められている」と感じる場合には、すぐにそんな職場は離れてしまった方が身のためです。
また、仮にあなたが「やりたいことが見つかった」「人生をかけて挑戦してみたいことがある」といったポジティブな感情をもとにして、退職や転職を検討しておられるのであれば、これはもう私がとやかく言う必要もなく、ご自身でその道に進んでいかれることでしょう。
「自分の目指すべき道が見つかる」という最も強いモチベーションを持って、次の行動を起こされるということであれば、それ程幸せなことはありませんから、その道で大きな花を咲かせられることを私も陰ながらお祈りしています。
ここで、1つだけ確実に言えることは、あなたの年齢やバックグラウンド、家族構成などに関わらず、『あなたの人生は、他の誰でもないあなた自身のためにあるもの』だということです。
人生の最期に、「やり残した」と想うことがない様、勇気を持って一歩踏み出しましょう。
私の場合はというと、冒頭にも少し触れましたが、退職の引き金を引いたのは、”危機感”でした。
今お話した中で言うならば、”ポジティブな発想”の部類に入りますが、「自分が人生でやっておきたいと思うこと」を実現するためには、自分で退路を断って挑戦をするしか無かった、というのが実態です。
では、その”危機感”とは一体何だったのか。
私が感じた「2つの”危機感”」
私が感じた「危機感」というのは、正確には2種類ありました。
- このままでは自分のやりたいことができない
- 今後社会は大きな”パラダイムシフト”を起こし、会社に寄生して生きてはいけない
この2つです。
まず1つ目の”やりたいこと”についてですが、これは私の人生哲学が大きく関わっています。私が人生哲学として最優先事項に掲げていることを一言で表すとすれば、
『最期の時に後悔のない人生を。』
ということに尽きます。
私の中では、「あれをやっておけば良かった」「なんであのことに挑戦してみなかったんだろう」「若いうちにあれを経験してみたかった」などという後悔の念を抱いたまま、死を迎えたくはない、という想いが非常に強いのです。
自分でもなぜこの感覚が常につきまとっているのか、正直よく解らない部分もあるのですが、なぜかずっとこの考えは私の脳裏から離れず、そこが判断基準になっています。
先程も触れましたが、「せっかく生まれてきたのだから、自分の人生は自分で精一杯充実したものにしてやろう」という意識が強いです。
この考えのもとに立つと、同じ会社に何十年も勤め上げ、会社の言いなりになって自分の人生を振り回されるなどということは考えられません。
仮に、とんでもなく忙しい仕事の状況や、プライベートの時間を確保できないといった状況に陥るとしても、それが既存の会社組織に属するが故の状況であるとすれば我慢できないと思いますが、自分が挑戦しようとしていることに関連した忙しさであるとすれば、どんな状況でも乗り越えることができるでしょう。
貴重な自分の時間は、自分がやりたいことを実現するために使うべきだと想うのです。
これが、私が会社を辞めようと決意した1つ目の理由です。
そして2つ目が、「今後、仕事についてや、働き方そのものに対する価値観が、大きくパラダイムシフトを起こしていく」という自分の中での未来予測に基づく危機感です。
最近では、盛んにAIの技術や開発競争、新たな活用の仕方といったことが報道されていますが、個人的には、控えめに見積もって「10年」、少なくとも「20年以内」には、現在の働き方、収入の得方といった”働くこと”の当たり前の部分が、全く通用しなくなる時代が訪れると考えています。
第一次、第二次産業革命時代、それまでの農業・工業技術が、新しい技術の登場によって飛躍的に発展を遂げ、労働の在り方が大きく変化しました。その後も、技術革新と効率化の波によって、ますます変化が激しくなってきたことは、承知の事実です。
しかし、これから先の未来に関して言えば、これと同じ感覚でいてはいけないと思っています。これまでとは比較にならないほどの”圧倒的なスピード”で、これまでとは比較にならないほどの”大きな変革”が押し寄せてくると考えています。
その大きな原動力が、「IT」および「IoT」のさらなる進化と、「AI」の社会への浸透です。長い間人間が担ってきた”単純作業”に代表される労働力は、人力からロボットや機械に置き換わります。そしてそのことが、労使間、または技術を有するものとそうでないものの格差を飛躍的に大きくしていきます。
この未来像に、私は危機感を抱いているというわけです。
つまりもし本当に、私が想像するようなそういった未来が訪れたとしたら、いくら大企業であれ、会社に属していることで収入を得て暮らしている人々は、会社に対して相当大きなインパクトがある付加価値を(技能として)提供できない限り、社内で生き残ることは出来なくなるということです。
解り易く言えば、会社から絶対に居てもらわなければ困ると言われるぐらいの能力を個人として身につけておく、もしくは、自分で稼ぐ術を身につける、このどちらかでしか、人並み以上の社会生活を送る方法はなくなる社会というものが到来すると考えているのです。
これらはイコールでもあります。個人として社会的に必要とされる能力がある人というのは、どこへ行っても引く手あまたでしょうし、自分で独立することも可能になるだろうからです。管理職に代表されるような統括の立場に立つことよりも、高い技術力を持つスペシャリストが、現場にこだわるということは考えられますが、いわゆる”誰でもできる”仕事というものにすがりつけるほど、今後の世の中は甘くはなくなっていくでしょう。
こうした危機感に苛まれた私は、会社を辞め、自力で自分の人生を切り開いていくことを決断したのです。
”お金”という呪
ここで、「仕事を辞める」ということに関し、もう1点取り上げておくべき問題があります。それが、「お金」についてです。
私は、前職では、お金を扱う「プロ」でした。数々の資産家、上場企業などと対峙してきましたが、よく感じた感覚があります。
それは、日本においては、”金融リテラシー”がものすごく低い、ということです。
つまり大半の人が、お金のことについて「ほとんどよく解っていない」という状態なのです。
一般に”富裕層”と呼ばれる様ないわゆる”お金持ち”には、その成り立ちや職業など、様々なタイプの方がいますが、こうした方々の中でも、お金のことや金融にまつわる知識というのは、本当に積極的・能動的に獲得しようとしてきた人でない限り、ほとんど持ち合わせていません。これはある意味で当然です。
思い返してみれば、義務教育ではもちろんのこと、日本人として今や標準的とも言える高卒以上の学歴がある、あるいは、場合によっては一流大学を出ていようとも、学校で”お金”のことについて教えてもらった記憶があるという人はほとんどいない、というのが現実でしょう。
親や身近な人間に教えてもらったり、大学などで専門的に勉強する以外には、この”金融リテラシー”を高める場というのは、日本人には存在しないまま、大人になっていくのです。
日本人は、お金持ちに憧れ、そうなりたいとか羨ましいと言う割に、お金にこだわることには嫌悪感を抱き、ましてや勉強しようともしません。これは、日本独自に育まれてきた階級制度の歴史や文化的な側面に拠る部分も大きいかとは思いますが、実のところ、多くの人がそこまで真剣に「”お金”が欲しい」とは思っていないのです。
ある程度平凡な暮らしができて、幸せだと感じることができていれば、突出して大金持ちになる必要性も、手に余るほどの資産を手に入れたいとも考えていない、と言う人が実は大半なのです。
正確には、「お金にほとんど頓着しない」というよりも、「本当にお金持ちになろうとして、真剣に考え、行動を起こす人というのがほとんど存在しない」という方が、正しい言い方になるのかもしれません。
私は違います。
はっきり言って、お金は大切です。しかし、大金持ちになる事自体が目的かと言われれば、これも違います。私の感覚としては、自分がしたいこと、手に入れたいもの、といったことを実現するための”道具”として、お金が必要となってしまうが故に、お金を追求する、という感覚です。
お金持ちになる事自体が目的で、そのあかつきには全てのものに惜しみなくお金を使い、贅を尽くした生活を送る、などということには毛頭興味はありません。
あくまで、自分がしたいことに対して、経済的な理由で諦めざるを得ない状況になってしまうということは避けたいということなのです。
そのためには、どう行動すべきなのか。
ここで話を戻しますが、自分で稼ぎ出すしか無いわけです。
”会社を辞める”というと、経済的なリスクにばかり目が行ってしまう人がいます。でも、よく考えてみてください。そう思ってしまう考えの根底には、「自分が稼げるのは、今の環境が限界である」という感覚があるということになるのです。
つまり、経済的なリスクとは、「今自分が得ている収入を、今後超えることができない」と自分で思ってしまっているからこそ、退職や転職に二の足を踏んでしまっているということなのです。
先程も言いましたが、自分自身がスキルアップし、積極的に成長を模索していさえすれば、少なくとも同業他社の戦力としては通用するかもしれませんし、自分自身で事業を興すということも可能になるかもしれません。
「自分の限界を決めるのは、自分しかいない」ということを肝に銘じ、果敢にその限界に挑戦し続ける、そんな姿勢が大切だと、私自身、常に自分に言い聞かせています。
さすれば自ずと経済的自由もついてくる、それが私の個人的な考え方です。
本当に会社を辞めるために必要なもの
さて、ここまで、会社を辞めるとはどういうことか、お金の問題や、今後”働く”ということがどう変化していくのかといった、社会の流れに関する予測なども交えながら、私個人の考え方についてお話をしてきました。
そこで最後に、この記事を読んで、「自分の能力を高めて自立していかなきゃいけないな」と感じられたという方のために、具体的にどのように動いていけば良いのか、ということについて少しお話しておきたいと思います。
結論から言ってしまえば、これは千差万別、十人十色で、その人の方向性次第で、身の振り方は全く異なってくるとしか言えません。
しかし、そうはいっても大多数の方は、すぐに会社を辞めても、何をして良いのかも解らず路頭に迷うことになってしまうかと思いますので、私なりに考えるヒントをご提供したいと思います。
それは、「考え続ける」「期限を設ける」という2点を大切にするということです。
本当に会社を辞めるために「考え続ける」
これらはどちらも非常に大切なことなのですが、まず「考え続ける」とはどういうことかというと、「諦めること無く、自分の本当にやりたいこと、一生のうちにやっておかなければ後悔するだろうと思うことを常に考え、考え抜き、それを人生の最優先課題として全ての選択肢を決断していく」ということです。
すぐに会社を辞めるという決断を下すことは難しいとしても、これまで持っていなかった様な、今回ご紹介した考え方を持ち、自分を見つめ直してみるということは今すぐにでもできることです。
私のように、自分に妥協すること無く、自分が本当に後悔しない人生を追求する姿勢を大切にしてさえいれば、必ず自分の理想の人生に近づけることが可能になります。
自分がしたいことが100%見つかる、などということは絶対にありません。しかし、日頃からそういった「考える」ことを続けていくことで、そこに”近づく”ことは出来るはずなのです。
是非、すぐにでも”真剣に”考えてみるということを始めてみてください。そして、答えが見つかったら、すぐにでも「辞表」を提出しましょう。
本当に会社を辞めるために「期限を設ける」
そしてもう一つ、「期限を設ける」ということについてですが、これは、人間の”弱さ”に関係する話になります。人間というのは、今の環境に不平不満があったとしても、一定程度の満足度さえ得られていれば、積極的に環境を変えようとはしません。
行動経済学的にはこれを「現状維持の法則」と言いますが、人は選択肢があまりにも多過ぎると、これまでと同じ行動をとって安心感を得ようとするのです。
つまり、今の職場が「嫌だ」と思っていたとしても、「そうはいってもそこそこ食べていくだけの給料は何もしなくてももらえるし」とか「この歳になって転職活動や自分を見つめ直すというのも気力が湧かない」、「自分のやりたいこと、と言われても特にない」といった感情から、積極的に行動をとろうとはしないのです。
そこで、期限を設ける必要があるのです。「◯歳までにはやりたいことを絞る」「◯年までには会社を辞める」というように、自分に期限を設定しておくことで、ダラダラと現状に満足する状態が続くという事態を避けようというわけです。
また、期限を設けることで自分の人生を改めて真剣に見つめ直し、お尻に火が付くことで、日々の生活の中においても、「これまで寝るだけだった休みの日に新たな趣味を始めてみる」とか、「やりたいと思っていたことに、少しずつ挑戦してみる」といった行動の変化が出て来ることでしょう。
その中で、自分が本当に求めているものは一体何なのか、追求していけば良いのです。
何も行動しなければ、何か変化が訪れるということは、絶対に起こり得ません。
さあ、明日から、いや、今から、行動しましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、eede.tv的エンターテインメント要素からは少し離れて、人生哲学、今後の社会の在り方といった側面から、”働く”ということについて考え、私個人の考えをお話させていただきました。
最後にまとめておきますと、私が大半の人が「いつかは会社を辞めた方が良い」と思う理由は3つ。
- あなたの人生は、他の誰でもない、あなた自身のためにあるもの。後悔しない人生を送るために「仕事」に縛られるのはやめよう
- 今後「働き方」が劇的に変化していくことが予想される中で、自分の”個”としての社会から必要とされる能力、自力で稼ぐ力をつけておく必要がある
- 経済的自由は、自分の能力を高めることで必然的に後からついてくるもの
もちろん、ここでご紹介した内容が、全ての人に当てはまるとは思っていませんし、これらの考えを押し付けようという気持ちも毛頭ありません。
でも、ここでお話した内容のほんの一部でもあなたの考えを形成するためのお役に立ち、何かヒントとなることを見つけていただくことができれば、私も長々と自分の考えをまとめてみた甲斐があったというものです。
せっかく私のブログにたどり着き、この記事を読んでいただいたということも、これ何かのご縁かとも思いますので、私も陰ながら、今後あなたの人生が今まで以上に輝いていくことを願っています。
それでは、最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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